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広報を活かす

第12回産業論文コンクール 優良賞
株式会社 大和農園  玉井彩子 氏

 

  私は半年前、当社に入社し、総務部広報課に配属された。広報の仕事をし出してまだ間もないが、この仕事をするうちに分かったことがある。それは広報が今後の企業成長に重要なものになっていくだろうということだ。ではどのような点で私がそう思ったかについて話していきたい。
 
まず広報の仕事は、大きく分けると社外向け広報と社内向け広報に分かれる。社外向け広報の仕事は主に新聞や雑誌、テレビ番組などを活用して自社の様々な情報を発信し会社のPRをすること。そして社内向け広報の仕事は社内報などを使って、社内各部署の動きや状況、経営陣の方針、考えなどを社内に発信し、会社全体で共有することである。
 
第一に、広報はほとんど費用をかけずに商品や会社の宣伝をすることができる。広告宣伝はメディアにお金を払いスペースを買って会社の情報を発信するが、広報PRはメディアが価値のある情報と判断して取り上げるため料金が発生しない。しかし広告は料金を払っているので企業側の意図通りに露出できるが、広報PRの場合は、いつどこでどうやって取り上げるのかはメディア側が決めるため、露出したい情報をコントロールするのが難しく、また取り上げてもらえないことも多々ある。しかし広告のように企業が主観的に発信する情報よりも、メディアの記者や編集者などの第三者が客観的に取り上げている情報のほうが圧倒的に「信頼性」の高い情報になる。
 
このように広報は費用をかけずに会社や商品のPRすることができ、尚且つ消費者の信頼性も高まり、企業ブランドの構築につながるのである。
 
私は入社して間もなく、社外向け広報の仕事を任されることになった。メディアに情報を発信する際は、発信したい情報を約1枚のA4用紙にまとめ、それを各メディアに送り、記者がこの情報は社会に発信するのに価値のある情報だと判断した場合、記事に掲載されたり、番組で紹介されたりする。
 私は自社の新商品が発売されますという情報をメディアに発信したところ、それが記者の目に留まり新聞記事に掲載された。するとその新聞記事を見たという方々から新商品についての多くの問い合わせがあり、メディアの取り上げてもらう重要性を感じた。
 
社外広報で会社の情報を社外へ発信することにより、企業の認知度が上がり、商品や企業ブランドが向上し、会社の成長に繋がるのではないだろうか。
 
第2に、社内広報をすることで、会社の向かっていく方向性が明確化し、その結果企業成長に繋がる。
 
社外に会社の情報を発信しようとすると、まず自分が社内の情報を知り、理解する必要がある。しかし私は入社してまだ日も浅く、社内の情報をまだほとんど把握できていなかった。そのため、私はまず各部署の社員の方々に分からないことをなんでも聞きに行くことから始めた。社内の色々な情報を集めていくうちに、各部署間で情報の共有がうまくできていなかったり、社員と経営陣の間で考え方のずれが生じていたりしていることに気が付いた。
 
社内で情報共有がしっかりされ、各部署の動きや状況がわかるとおのずと仕事の効率もよくなるのではないだろうか。また経営陣の方針、考えなどがしっかりと社員に伝わることで社員のモチベーションもあがり、企業ブランド構築につながっていくと考える。
 
当社では最近新しく、社内報を作った。経営陣の思いや、各部署の仕事内容、また社員紹介などを掲載し、情報の共有をするのが狙いだ。社内報を配布後、社員に社内報に関するアンケートを実施し、感想や考えを聞くと、やはり多くの社員が、他部署の情報を知ることができてためになった、経営陣の考えや思いを知ることができよかったなどと考えていた。
 情報は社外に発信することだけが重要なのではなく、社内で情報を発信し、共有することで会社の目指す方向性が統一され、会社の成長に繋がるのだろう。
 最後に、広報活動をしていくにあたって重要なことは、社内で広報の存在意義を理解してもらうことだ。広報は会社や商品のPRをし、メディアに取り上げられ、認知度やイメージがアップしたとしても、それがどれだけ売上につながったかという明確な成果を計算することは難しい。そのため社内で広報の仕事や重要性を理解してもらうことが大切になってくる。広報の仕事が認知されればおのずと色々な情報が社内から集まり、社外へ情報を発信しやすくなる。
 自分の出した情報が新聞に取り上げられお客様から反響があったことで、その後各部署からだんだんとプレスリリースのネタになる情報を提供していただいたり、要望があったりなど少しずつ広報に対する理解が浸透してきたと感じる。
 社内から広報の理解をさらに得るためにもこれからさらに広報のスキルを身につけ、成果を上げ、社内から信頼させる広報担当者になっていき、そして社会に自社の情報を発信し、企業ブランドを構築させていきたい。

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