ホーム > 産業論文コンクール > 過去の入賞論文 > 第13回産業論文コンクール(平成29年度) > 自らの「三矢」を立てる

自らの「三矢」を立てる

第13回産業論文コンクール 努力賞
GMB株式会社  紋田浩気 氏

 

  「三矢の教え」もしくは「三本の矢」は戦国大名である毛利元就が、自らの3人の子に、結束の重要性を説いたとして伝えられる逸話である。逸話によると、1本の矢では簡単に折れてしまうが、矢を3本束ねると折ろうとしても簡単には折ることができない。同じように一族も結束して強く生きよ、と説く教訓となる。この逸話を挙げた理由は、私自身が三本の矢を求めている為である。
 研修を終えた私が、「生産企画」の業務にかかわるようになって、1年と1カ月が経過した。弊社の「生産企画」での基本的な業務内容は、生産の予定や計画の作成、生産状況の確認、生産に必要な物の発注等、生産に広くかかわる業務となっている。
ウォーターポンプ部門のベアリング部門の担当を任されてから、日々業務と格闘している。しかし正直な所、日々の業務を行えば行う程に、私の能力の無さを感じずにはいられないのである。このままではいずれ自分自身が折れてしまうと考えた私は、この「三矢の教え」を基本として、これから先の自分において、どのような努力が必要なのかを3本決定し自らの指針としたのである。
 実際に自らの三矢の完成の為に、どのような能力が必要か示すこととする。

  1. 記憶能力の向上

 私が業務を任されて、初めに考えたことが、どれだけの数の型番が有るのだろうか、といったところであった。ベアリング部門内だけで見ても、軸で400型番以上、外輪で40型番程度となる。そこから各工程毎に判別する為の型番の違い、ニードルやボール、保持器等にも型番が存在する。特に軸の型番では、使用されている数値が1つ2つ違う型番が並ぶ型番が多い。例を挙げると、S16096-17BR-○○、S16098-17BR-○○、S16098-21BR-○○となる。勿論、型番の英数字の並びには、意味がありその製品を表すものとなっている。その為、製品自体も似ているので、物を見ても型番を確認するまでは、見分けがつかないことが多くある。さらにベアリングはウォーターポンプに組み込むもので有る為、このベアリングにはこのウォーターポンプのように、ベアリングに対応したウォーターポンプの型番も必要になるのである。特に、部署によって製品の表し方が違い、このベアリングのウォーターポンプは、と表現する方もいれば、このウォーターポンプのベアリングは、表現される方もいる。自分のデスクにいれば、PCを用いてデータベースを調べれば良いのだが、現場にいる場合や、近くに使用できるPCが無い場合等、データベースを利用できない場合が多々ある。結果として、自分の記憶を頼りに対応をする場面が多々有る為、型番とそのつながり理解し、記憶し続けることが、今現在の業務そして、これからの業務においても重要になると確信している。

  1. 迅速な判断の重要性

 生産の計画を作成したとしても、実際に計画通りに生産が進むとは、限らない。台風や濃霧が発生すれば、材料を運搬する船は遅れる、機械にトラブルが起きれば生産は止まる、人も様々な要因で働けなくなる事もあり得る。お客様の要求により、急遽生産を進める必要がでてくる可能性もある。実際、計画通りに生産が進むことは少なく、何かしらの問題により計画の変更を行うことが多い。そのような場合、一番重要になる能力が、瞬時に判断できる力だと考えられる。仮に問題が発生した場合、今現在の生産をどうするかを素早く判断しなければ、生産は止まり続ける事になり、その後の生産に大きな影響を及ぼすことになる。特に、問題が発生した場合、私自身がどれほど悩み考えようが、その解決至ることは無い場合が多い。それに加え、私は自らが予想していない事象が起きると、思考が停止し自身がどう対応するのかを思考できなくなる傾向にある。正に致命的な反応をしており、今現在に至っても、関係各所に多大な影響を及ぼす場合がある。先ずは、生産を円滑に進める為の判断、対応、と動けるように努力するとともに、正確で素早い判断を可能とする為に、自身の知識や経験を培うことが大切であると考えられる。自らを鍛え、判断力を高めることにより、これから先の生産において、様々な問題が発生したとしても、円滑に生産を進めることが可能だと考える。

  1. コミュニケーション能力

 社会に出る前から重要と教わり、社会にでた後も必要不可欠とされる能力、コミュニケーション能力とは正に、社会で渡り歩く為の道具、ではないだろうか。このように考え始めたのが、「生産企画」の仕事を通じて、様々な人と関わりを持つようになった為である。「生産企画」は業務内容からおおよそ全ての部署と関わりを持つことになる。部署によって考え方が違えば、同じ部署内においても人それぞれ違う考えを持っているものである。様々な人に対応するには、それ相応のコミュニケーション能力が必要となるのは明らかだ。声が小さい、発言・発声ともにはっきりとしない、反応が遅い、視線を合わせない、この4点が私のよく注意されるコミュニケーション関係の内容になる。この内容については私としても自覚がある。元々早口でしゃべる癖があり、そのうえ相手の話の内容を理解してから返そうとして、返答に1テンポずれるような話し方をしている為である。さらに元々関西方面で暮らしていなかった私には、会話のテンポが速いことが、余計にコミュニケーションをとることを難しいものにする要因となった。結果として、相手に伝えたいことがあっても正しく伝わらないことが多くあり、逆に相手からの質問等に対して、返答が遅い、や、そんなに悩む事かな、といったように注意されることが多発した。さらに自分としては、しっかりと返答した筈が、早口に声量不十分が重なり、相手に別の意味で伝わり、注意される結果となる事もあった。今までコミュニケーションが出来ていたつもりが、実の所、相手が理解しようしてくれていた為に、成立していたのだと痛感した。今現在では、会話の一つ一つで、意識して言葉を発するように努めている。相手が理解しようとするには、先ず初めに、こちらが伝えようとしなければ伝わらないと思われる。「生産企画」の業務を始めた当時と比べると、相手に正しく伝わることが増加してきた。それにより、業務の進行も進むように改善している。これからも意識して、コミュニケーションを行い、能力を上げていく事が、重要な課題である。
 これから先、私が「生産企画」の業務を全うするには、上記3項目の能力を向上させる事が重要である。他にも至らないところは多々存在するのだろうが、先ずはこの3項目であると確信している。これから先、どのような業務を行うことになったとしても、関係各所に対しての「コミュニケーション」を図ることは必須となる。どのような状況に置かれたとしても的確に且つ素早く「判断を下せる」ことは業務の流れを止めない事に繋がる。また業務をよりよく行う為には、自らの知識を高めそれを何時いかなる場合でも利用できるように、「記憶」してことが重要となる。    

 この3項目を私の「三矢」として、自らの仕事に向き合っていきたい。

 

このページの先頭へ