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基本に立ち返る

第15回産業論文コンクール 最優秀賞
三笠産業株式会社  岡 拓弥 氏

 

 『 基本に立ち返る 』

 

 新入社員として入社し、1年と4カ月が経過した。現在は2年目の社員として日々業務を行っている。新入社員研修や上司からの指導を通じて、1年前よりも自社製品や日々の定常業務への理解を深めることが出来たと感じている。
 しかし、それに伴い自分の中で僅かに「慣れ」が発生し、目の前の業務を淡々と行うことが増えた気がしている。慣れによって業務効率を上げることが出来るが、同時に業務に関して深く考える機会が減るようにも思える。
 入社直後は右も左も分からず、上司の指示が無ければ本当に何もできない状態だった。
 しかし1つ1つの業務に対して多くの疑問を持ち、意味を考えることが自然と出来ていた。
 私の勤務する三笠産業では大切にしている理念がある。それは「現状否定」と「創意工夫」である。
 今回は少しずつ慣れが出てきている自分を戒め、基本に立ち返るという意味を込めて今一度自分が勤める会
社の大切にしている理念について考えてみようと思う。
 まず、「現状否定」について自分なりに考えてみる。現状否定を行う事で、現状の問題点を把握することが出来る。そして意識的に改善を行う事で状況を好転させることができると考える。三笠産業の社員証の裏には「物事がうまくいっている時こそ現状否定しよう」と書かれてある。現状に満足せず更なる成果を目指す姿勢が必要というのは、若手社員の自分でも理解できる。また、物事がうまくいっているときに現状を否定するのはリスクがあるよう思えるが、そのリスク管理の為に会社には様々な部署があり、その中に今までの具体的な成功例、失敗例を知る先輩社員がいる。そのため、うまくいっている時に現状否定をすることは、文字通り現状の「否定」というわけではなく、会社が今までに培った経験やノウハウを駆使して行う、ある意味、肯定的な行為であると感じた。
 また、現状否定を行うにあたって自分のような若手社員が先輩社員よりも優れている点が1点だけあると考える。それは「気づき」である。現状否定の根本にあるのは、現状の問題点を見つけるという事である。仕事経験が長くなると、問題点を含んだ仕事の方法に慣れてしまって、それがやりやすい仕事になる場合があると考える。そのため、仕事経験が長くなると、そもそも問題点に気が付かないということがあるのではないだろうか。
 それに対して、若手社員は会社全体で見ると、知識も経験も浅く、会社に直接的に貢献する実力も機会も限りなく少ない。しかし、あらゆる業務を俯瞰的に見る事が出来ると感じる。
 そのため、若手社員は先輩が気付かない問題点に気づき、発信する必要があると考える。その気づきが誤りである場合もあるだろう。しかし、その気づきによって改善が行われ、所属部署ないしは会社全体の業務効率が高まるのであれば若手社員は若手社員にしかできない方法で会社に貢献したことになり、周りからの評価も得ることが出来る。よって若手社員がすべき「現状否定」は先輩社員が気づかないような問題点を見つけ、共有することであると考える。 
 次に「創意工夫」について自分なりに考えてみる。考察の結果、創意工夫を行うにあたって、大切な要因が3つあるという結論に至った。
 1つ目はしぶとさである。失敗を恐れず様々な方法を行う事で少しずつ土台を固める。そして、執着心を持って最良の方法を模索することで、答えを導き出す、大きな助けになると考える。
 2つ目は現状を開示することである。創意工夫を行うにあたって、特に若手社員は上司の助けが必要不可欠となる。上司に現状を開示することで、これまでの経験に基づいたアドバイスをいただくことが出来る。このアドバイスにより試行錯誤の段階で、過去の失敗と同じことを繰り返すといった無駄を省くことができ、達成に向けての近道を通ることができると考える。
 3つ目は指示待ちにならないということである。指示を待たずして自分から動くというのは、一見上記の現状を開示し、上司にアドバイスをいただく方法とは相反するように思うかもしれない。しかし、ここでの指示待ちにならないというのは、もちろん上司に協力を仰がず、自分だけの判断で進めるという事ではない。私はそもそも指示待ちになるということは、指示をもらうまで動こうとしない、すなわち興味が無いということだと考える。きっと自分の趣味など、興味のあることに対しては無意識に自発的に行動し、それが苦にならないはずである。こと仕事においても、興味があれば、人を頼らずとも自分の出来ることから進めることができるだろう。そのため、まずは自分の仕事に興味関心を持つことが創意工夫を行うにあたって非常に重要であると考える。また、業務の中でどうしても興味関心を持てない場面であっても、目標達成から逆算して考え、今何をすべきか考えながら行動することが大切であると考える。
 以上上記3点が創意工夫を行うにあたって必要な要因であると考える。
 今回2つの理念を考えたことで1点の気づきを得ることが出来た。それは創意工夫と現状否定は強い繋がりがあるということである。現状否定によって問題点を見つけ、その先問題点をどのように改善するか、また新たにどのような方法を取るかというのが創意工夫であると考える。そのため、2つの理念が並列に掲げられている理由が今回の産業論文を通して理解できた。目標達成までのプロセスは人それぞれだが、私は今後も「現状否定」「創意工夫」の考えを参考に日々の業務に取り組んでいきたい。

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