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学んできたことを振り返って

第19回産業論文コンクール   努力賞
 三笠産業株式会社  毛利彩我 氏 
 『 学んできたことを振り返って 』

 

私が三笠産業株式会社に入社し、1年半が経過した。自社では射出成形技術を用いて食品調味料を中心に洗剤や医薬品、化粧品などのキャップやボトルを製造している。私は射出成形機で使用されている金型について学びながら、メンテナンスの仕事を行っている。金型とは、金属で制作された型枠の総称である。メンテナンスは主に生産時に発生する汚れの掃除を行っている。最近ではメンテナンスの仕事を任されることが多くなり、とてもやりがいを感じている。

最初は先輩社員に教わりながらメンテナンスの仕事を覚えていった。このときに多くのことを教えていただく中で特に印象に残っていることが2点ある。

1点目は「次にすることを予測する」ことだ。先輩社員とメンテナンスをしていたとき、ひとつの作業が終わってから次の作業を行うようにしていた。必要のないことをするとその分時間を消費するため、必要になってから行動していた。しかし、これでは次に行う作業までの時間がかかり、効率よく行うことができない。次の作業を考え、必要な工具の準備や必要ではなくなったものの整理整頓などを行うことで、効率よく仕事が進められるようになった。予測することを教えられてから私は常に次の作業は何をするのか、作業の際に邪魔なものはないのかを考えながら行動するようになった。先輩社員の動きを見て次に何をするのかを見極め行動する。ただ教えられたことや言われたことをするだけでは身につかない。成長するためには、自分で考えて行動することが重要だと感じた。もし必要のない事だったとしても自分で考えて行動した結果なので、今行うことではなかったと覚えることができる。周りを観察し、次にすることを考えて動くことが大事だと感じた。
 2点目は「こだわりを持つ」ことだ。金型のメンテナンスという仕事は製品によって金型の形は違うが、同じような作業の繰り返しになる。金型を分解、掃除、組み立ての繰り返しである。同じことを続けると慣れてくる。慣れることは仕事が身についてきたという良い面もあるが、油断することにも繋がる。この油断が大きなミスのきっかけになる可能性がある。油断することを防ぐために「こだわりを持つ」ことが重要だと教わった。例えば、金型を置くという作業でも向きや場所を決める必要がある。初めて行うときは緊張感を持ちながら作業をするため慎重になる。いつも同じように置くことができれば良いのだが、慣れてくるといい加減になり、油断していると怪我やミスに繋がる。このとき、方向や場所にこだわりを持っていれば、同じ作業でもクオリティを保つことができる。どんな作業にもこだわるポイントがある。それを考えながら作業を行うことで慎重に行うようになり、慣れてきたとしても油断することがなくなる。
 「次にすることを予測する」ことと、「こだわりを持つ」ことを学び、私は理由付けをして仕事を行うことが重要だと感じた。
 「次にすることを予測する」の場合だと、なぜそう予測したのか理由を付けずに行えば、次に同じ状況になったとき同じように行動することができない。理由を付けることで覚えやすくなり、似たような状況になったとき、素早く行動に移すことができる。また、全く違う状況であっても、これまでに対応したことを思い出し臨機応変に対応することもできる。「こだわりを持つ」の場合だと、こだわりに理由がなければこだわり続けることは難しい。なぜそこにこだわるのか理由を付けることで慣れてきたときに、油断することなく作業することができる。
 この2点以外にも、なぜこの作業を行うのかを考えることで身につきやすいと思う。さらに、これから仕事をする中で、理由を考えることで疑問点を見つけることができ、何を理解していて何が課題なのか見つけることができる。
 この論文を通して、これまで学んできたことを振り返ることができた。「次にすることを予測する」、「こだわりを持つ」、これらのことを忘れず、どんなことにも理由を付けながら仕事に励むことで大きく成長することができたと思う。これからもなぜこの作業をしているのか考え、先輩社員に質問をして、仕事への理解を深めたいと思う。現在、今年入社した新入社員を教えている。この1年半で学んできた「次にすることを予測する」、「こだわりを持つ」ことなどを伝えたいと思う。さらに、一緒に作業する中で新たな気づきを見つけ、自身の成長につなげていきたいと思う。

 

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