ホーム > 産業論文コンクール > 過去の入賞論文 > 第19回産業論文コンクール(令和5年度) > 営業職として働く上での意識

営業職として働く上での意識

第19回産業論文コンクール   優良賞
 大光宣伝株式会社   真鍋亜優 氏 
 『 営業職として働く上での意識 』

 

「営業は気配りであり、個人を売る」

これは、会社で働いている中で、一番印象に残っている言葉です。学生から新卒として入社してから4、5ヶ月が経ちました。就職活動では、軸として私は人見知りな自分を変えるため営業職になること、幼少期から絵を好きだったことから絵やデザインにまつわる仕事に就くことを挙げ、市街地看板や交通広告を主に取り扱う弊社に採用していただきました。

 弊社では、広告を出したいお客様を見出し、企業様にあった場所や大きさ、デザインの広告を掲出するお手伝いをしております。お客様は企業・個人事業主問わず、多種多様な業界のプロモーションに携わっています。

 そんな中で、会長が仰っていたのが上記の言葉です。それまで私は、営業とは話術巧みで、おしゃべりが好きな人が、より数字を取れる営業マンだと思っていました。実際に営業職の上司の方々に同行させていただくと、相手のお客様に、売りたい商材がある訳でもなく、それがすぐに利益につながりそうな訳ではないのに、近くを営業車が通る用があるというだけでご挨拶に伺っていました。挨拶にお伺い出来ないときは、電話をかけ、近況を伺っていらっしゃいました。日ごろからのお客様との関係作りのために、気を配っておくことが、回りまわって利益に繋がると分かりました。弊社が主に取り扱っている看板事業では、お客様が看板を出し続けてくれることが利益に繋がるので、特に関係作りが重要視されると考えます。

また、二点目の個人を売るという点について、上記の言葉に、会長は続けて、「本当に売れる営業はどんな商材でも売ってくる」と仰っていました。その商品を買いたい、というより、この人だから買いたいという、自身の誠実さや熱心さ、強みが買われるような営業が売れるという意味だと解釈しました。そう思っていただくためにも、気配りが重要になってきます。気配りという形で、常に情報や環境に対してアンテナを張っておくことで、様々な業界のお客様に対応でき、琴線に触れる機会が多くなります。このことは、新しく看板や広告を契約していただけるお客様を見つける際に重要なことです。さらに、広告というものは、衣食住のような必需品ではないため、新しくお客様を探す際は、「ウチはそういうものは考えておりません」と一蹴されることが往々にしてあります。そんな時に、「そういえばお近くに新しいお店ができるらしいですね」といったような、相手の興味を引くような切り返しが出来るようになるためにも、気配りや、個人の強みを磨いておくことが重要であると感じました。

このような気配り力を身に着けるためには、下記の三点が重要であると考えます。

 一点目は、様子に注目することです。話題によって困る素振りを見せていたら、すかさずその話題について探りをいれるなど、僅かな機微を捉えることで、この人は他の人と違うなと思わせることができます。

二点目は、記憶することです。その時にお客様が仰った情報や身の上の話を覚えておき、再訪した時に、再び話題に取り上げるのです。例えば、お客様が自分の娘さんの話をしていた場合、次に訪問した際に、「娘さんお元気にしてらっしゃいますか」といった質問をする、お客様が体を悪くしたという話を聞けば、お体の心配をしたり、効きそうな薬を渡したりすることが挙げられます。記憶しきれない時は、名刺と共にメモをとることで、次回訪問時に思い出すことができます。どこに注目してメモを取るかについても、相手の会話が饒舌になったところに注目して、相手の好きな話題についてメモしておくなどメリハリが重要であると考えます。そうした積み重ねで、お客様自身に、この人は自分のことをよくみてくれているなと感じさせ、相手からの信用を得ることができます。

 三点目は、頭の回転です。一点目の様子の観察と、二点目の記憶を基にして、何をすればお客様の助けになるか、を瞬時に導き出せるよう、考えを巡らせておくことが重要です。

 上司との同行の中で、お客様の中でも信頼関係の深さや人柄の違いで、どのような対応がお客様に気に入られるかが変わってくると感じました。広告の中の看板事業の30パーセントは医療関係の広告であり、弊社のお客様にも個人事業でのクリニックや、医療法人の病院の方が多くいらっしゃいます。その中でも、おしゃべりが好きで気さくな先生や、雑談よりも本題を重視して、てきぱき物事を進めたい先生など、様々な傾向の先生がいらっしゃいます。本題を重視している先生に雑談をしても響きませんし、本当はおしゃべりな先生に本題の営業だけ喋っても仲は深まりません。人柄を分析し、どのような会話で仲を深められるのかを頭を回転させて考えるべきであると感じます。

 このように、気配り力を高めた上で、個人を売るためには、個人の強みを伸ばすことも大切であると考えます。

 弊社には、70歳を超えてなお現役の営業マンである上司がおり、その上司には、「得意を伸ばせ」と常々教わっています。その上司は、車が大好きで、車の話であれば何時間でもしゃべることができるため、車の販売店に次々訪問し、広告の営業を忘れるくらい車の話で盛り上がり、仲を深め広告を出してもらっていたそうです。

 このように、自分の得意とする分野で、相手にもしゃべってもらいつつ、自分が会話のイニシアチブをとり優位に話を進めていくことが大切であると学びました。

 「得意を伸ばせ」と教わった際、就職活動での自己の振り返りは、会社を選ぶ基準だけでなく、仕事での武器としても活用できるのか、と視野が広がりました。

 私の場合は、絵が好きなことを活かし、お客様でHPのリニューアルを検討されている方がいれば、会社の雰囲気に合うキャラクターやロゴマークを提案したり、食べ物が好きなので、美味しい食べ物の店を共有したりすることで、お客様との仲を深めるきっかけになるのではないかと考えています。

 「営業は気配りであり、個人を売る」営業マンが自ら働きかけるプッシュ型営業ではなく、ネット広告や、AIにより精度が高くなった趣味嗜好に自動で合わせるリスティング広告が一般化し、直接営業しないプル型営業でも効果を挙げられる時代になっています。そんな中で、営業マンとして生き残るためには、この言葉が重要なのではないでしょうか。



このページの先頭へ