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老人福祉施設課題

第4回産業論文コンクール 努力賞
小山(株) 西井 正樹さん

安心した老後を迎える為に老人福祉施設(以下施設)は重要な役割を担う。万が一介護が必要となり自宅での介護困難となった場合施設の役割は大きい。
現在直面している大きな課題は人材確保である。東京都の調査によると施設長の7割以上が解決必要な課題としてあげている。人材確保の困難の理由として給料水準の低さが最も多い回答である。介護職員の平均年収は387万円(東京都)で全業種平均444万と差がある。
夜勤があり、重労働の仕事に人材離れは加速している。給料水準の低さの原因に介護報酬の低さ挙げられる。財政難の中報酬アップは難しいかもしれないが、それでは将来安心して老後を迎えられないと私は感じる。
私は学生時代北欧に研修旅行へ行き福祉の先進国を肌で感じた。日本には真似は出来ない。なぜなら文化、歴史、制度、日本とは全く違う。北欧では保険制度はなくすべて税金でまかなわれている。一つ例にあげると所得税52%、消費税25%日本では考えられないかもしれないが事実である。もちろん介護職員の給料も一般業種より高い。理由は働く人がいなくなると困ると国民が思っていると現地の職員は言い切った。日本とは社会的評価が違い、職員もプロとして厳しい環境で働いている。徘徊している利用者の腕を握り徘徊を止めれば訴訟を起こされる。職員の人数的にも報酬的にも恵まれている代わりに厳しい制度もある。職員の給料と労働が見合っているから日本のように人出不足にはならない。
日本の介護職員は仕事に給料が見合っていないのか。賛否両論ある。私は国民の理解と介護職員の質の向上が最も重要だと感じる。質の向上は介護技術の向上はもちろんだがサービス業としての自覚、一般企業なみの接遇、マナー研修を新人職員に導入し、国民から評価される職種にならなければいけない。
介護に関する研修会はよく開催されているのを目にするが、マナーやサービスに関しての研修は少ない。介護のプロで技術も優れていても人に対しての対応が悪ければ台無しである。今般の報道等で仕事の大変さは理解が得られてきている。国民に評価され、接遇、マナーの面の向上が介護職員の未来を切り開く手段であると私は感じる。
国民が介護を必要となった時安心して過ごせるよう介護職員が良い環境、質の高い仕事をする事で人材は集まる。国民自身質の高い介護を受ける為、費用負担は避けられない。
介護職員の質が上がりそれに対して国民が費用負担を拒否するならば、私は次のような提案をしたい。
現状の施設を最低保障として介護報酬は現状を維持し利用者負担額は自由化にする。乱暴な提案かもしれないが職員が良い待遇を手にするにはこの方法しかない。介護保険導入で競争の原理が働くと言われていたが現状は同一利用料金、同一報酬で言葉は悪いが、一生懸命介護している施設、普通に介護している施設変わらない。施設数も慢性的に不足しており競争の原理など働いていないのでサービスの向上がなかなかうまくいっていない。評価される施設には利用者が集まり収入も多く入る。職員の待遇も良くなる。施設が競い合い上を目指せば日本の施設の質は向上する。一般のサービス業も他社と競争をしてサービスの質が上がる。質が上がらない企業は当然お客様が減る。当り前のことが介護保険下の施設では規制、規則があり当り前の競争も起こらない。施設の努力だけでは競争は起きにくくより良いサービスも生まれてこない。
このような提案をすると出てくるのが低所得者の問題である。お金が無い人はより良い介護が受けられなくなる。しかし現状の介護サービスは受けられる。節約をして我慢をして資金を貯めた人がその分よりよい介護が受けられる。逆に浪費癖のある人は介護が必要となった時現状サービスしか受けられない。
私はこのほうが平等だと感じる。もちろん社会的弱者の人を助ける制度は必要だ。
施設、介護職員の質の向上なくして国民の同意は得られず待遇の改善も見込めない。私の考えは乱暴と言わるかも知れないが質を上げ国民に今以上に認めらなければならない。
そして私たち国民も真剣に介護について考えなければならない。将来親や自分にもかかわる可能性が高い。その時に気づくのでは遅い。国民自身も介護保険、施設について真剣に考えなければいけない。施設の努力を認めなければいけないし、施設、職員も認められるように行動しなければならない。
人材不足解消に向け待遇改善は急務であるが財源不足から容易には行えない。国民が保険、税金アップに反対するならば自己負担の自由化を導入し質の高い介護を提供した施設が多くの収入を得て優秀な人材を育て施設全体の質の底上げが急務だと私は感じる。

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