ホーム > 産業論文コンクール > 過去の入賞論文 > 第7回産業論文コンクール(平成23年度) > 各種点検の必要性

各種点検の必要性

第7回産業論文コンクール 優秀賞
ニッタ(株) 島廻 大地さん

『私の仕事への取組み-点検編』
私は学生時代、工業高校に通っていた。
そこで様々な加工技術を習いつつも、「会社に入ったところで、製造現場に回されたらこういった加工をする機会は殆ど無いのだろう。」と、軽く考えていた。
入社して一ヶ月。私の配属先の名称を聞いたとき、何を行っている部署なのか、全く想像する事が出来なかった。入社後一ヶ月の全体研修の期間でも聞いた事の無い名前の部署だったからである。だが、私の配属された部署は工場内の建物・設備機械を維持・管理する担当であり、その業務の内容は多岐に渡り、学生時代に習った加工技術もフル活用しなくてはならない部署だった。
その多岐に渡る業務の中で、重要な役割を占めているのが設備機械の保全であり、その中で、私が主に担当しているのが点検・整備である。
学生時代は加工機械の保全活動は教師と業者が行っていたのだろうか、その時に保全とはと聞かれても、設備に給油を行うくらいしか答えられなかったと思う。
しかし、会社で保全における点検の役割を初めて知り、驚いた。保全における点検の役割とは、機械が故障する前に故障の予兆を察知して調整や部品交換等の処置を行って、何事も無かったかのように運転を継続させることだ。
私の会社では、3年毎に経営計画が出されるが、今年度は3年目の年で過去2年間に進めてきた事を仕上げる年であり、社長の方針では『攻める年』となっている。私も今年が入社3年目であり、入社してからの2年間を『仕上げて攻める年』にするためには何をしたらよいか、また今の自分に何ができるのか、この機会に考えてみた。
これまでの2年間を振り返れば、部署の多岐に渡る業務の中では一部ではあるが、工場の中の機械に関する内容や修理のやり方について、実際に先輩方についてやりながら教わってきたので、今では任せられているものも少しはあり、最近では他部署から直接私に相談があることもある。また、保全に必要な基礎的知識についても、勉強して国家試験を受験し合格した。
点検の重要性について、これがうまく行われていない場合には故障による大事故が世間でもよくあることからもわかると思う。その一例が、以前、少し興味があった、ある公園のジェットコースターの事故である。この事故では車体の車軸が折れてしまった事が原因として挙げられているが、車軸の点検は年1回。日常点検は勿論行っていたが、その内容は目視のみ。当時は、人命に関わる日常の点検項目が本当に目視だけで良かったのかが疑問視されていた。
この事故からわかることは、有効な点検を行う為には、点検内容をその機械が必要とする内容にしていく必要があるということであり、また、安易に点検項目を減らし、点検周期を延ばし、点検内容を簡略化することにより効率化を図ることは危険なのである。
しかし、その一方では点検に時間や費用をかけすぎては、生産面や会社にとってマイナスとなる。必要のない点検や同じ様な内容を二重に行っていたりすれば機械が止まっている時間が長くなり、それだけ生産能力が落ちるし、部品交換ばかりすると費用が掛かりすぎてしまい、これもマイナスとなる。
現在、私の部署では機械の点検について内容の見直しを始めており、その中で過去に起こった故障「過去トラ」を調べてその故障箇所に対して点検を行うとか、その故障の原因を考えてそれがわかる点検方法を採用するといった、実際に起こったことを基にして点検内容を見直すことを、先輩方が中心になって行っている。また、過去の故障した記録が残っていない機械もあり、そういった場合はなかなか仕事が進まないことがある。こういったことを今後なくしていくためにも「過去トラ」をパソコンに残していくことを行っている。そうして行けば、記録と全く同じトラブルが起こらなかったとしても、似たような「過去トラ」を調べる事で現在の故障の原因や解決策が見えやすくなるといったことが考えられるからだ。
このような先輩方が中心となって機械の点検を進めている状況の中で、私ができること、すべきことは何か?今まで経験し考えてきたことを少しでも生かして、先輩方についていくだけではなく、一緒に考えて自分の意見を出し、一緒にやっていくことと思う。
具体的には、点検内容ひとつひとつについて実際に自分でやってみて、まずは故障の予兆がどうやったらわかるのか自分で考えてみること、疑問があれば聞いてみること、そして自分なりに提案をしてみることと考えている。
勿論、その機械の「過去トラ」を見て現状を正しく知り、その機械の構造や動きを知っておくことは基本であり、これができないと先輩方と一緒に仕事はできないと思うが、このためには今の実力ではまだまだであり、これから取組んでいかなければならないところと思う。
また、同時に、点検項目を減らす、点検内容を簡略化するだけではなく、点検の効率化を行うにはどういった方法があるかも考えていくことが必要と思う。
具体的には、工具類等の準備作業、実際の点検作業、点検後のまとめの作業をどうやったら早くできるかが今後の課題と思う。
1年目は新しいことばかりで自分の業務を覚えていくだけで精一杯であり、2年目はこなしていくことを心がけてきたが、もう現職2年半になる。
そろそろ、機械の点検だけでなく、周囲のみんなが認める「一人前」を目指して、自らが考えてこう言った課題に取り組んで行けるようになりたいと私は思っている。

このページの先頭へ