ホーム産業論文コンクール過去の入賞論文第21回産業論文コンクール(令和7年度)仕事への考え方・見方の変化

仕事への考え方・見方の変化

第21回産業論文コンクール   努力賞
 ニッタ株式会社 奈良工場   山本雅士 氏 

    『 仕事への考え方・見方の変化 』

 

はじめに

現在の部署に配属されてから約2年が経過し、その間に「仕事」に対する考え方が大きく変化した。
以前は製造現場に従事していたことから、物事を現場目線で捉えることが当たり前だった。しかし、現在の部署で安全・環境・品質に関する業務に携わる中で、ISOの考え方を学び、実践する機会を得たことで、視野が広がり、より俯瞰的な視点、つまり組織全体を見るようになった。

本論では、私の仕事観の変化とその背景、そして今後の仕事に対する展望について述べたい。

現場目線からの出発

製造現場での仕事は、製品を「いかに効率よく、正確に、そして安全に」作るかに焦点が当てられていた。日々の業務は目の前の作業に集中し、品質や安全に関する課題も、現場内で完結するものとして捉えていた。現場での経験は、モノづくりの基本を学ぶ貴重な時間であり、今でもその経験は私の土台となっている。
しかし、当時の私は「なぜこのルールがあるのか」、また「なぜこの手順が必要なのか」といった背景にまで思いを巡らせることはあまりなかった。
現場の視点に偏りすぎていたため、全体を見る目や経営的視点を持っていなかったからである。

転職のきっかけと安全への共感

私がこのニッタに転職した理由の一つに、「安全第一を旨とした職場環境の実現を推進し、災害ゼロを達成する」という労働安全衛生プログラムへの強い共感がある。以前の職場では、作業効率や納期が優先される場面が多く、安全が後回しになることがあった。そうした環境の中で、私は「安全に仕事ができ、無事に家に帰れること」が何よりも大切だと痛感した。
現在の会社では、安全に対する考え方が根本から違っていた。例えば、リスクアセスメントや現場の法令順守活動が徹底されており、作業現場や国・県・市町村の声を反映した改善提案が積極的に採用される文化がある。

ISO的思考との出会い

現在の部署では、安全・環境・品質に関する業務を担当しており、ISO45001・9001・14001といった国際規格に基づいたマネジメントシステムの運用に関わっている。これらの規格は、単なるルールや枠組みではなく、「なぜそれが必要なのか」「どのように継続的改善を図るのか」といった考え方を重視している。
ISOの考え方に触れることで、私は初めて「内部・外部の課題を分析し、リスクと機会を評価する」という視点を持つようになった。また、経営層が何を重視し、どのような方向性で会社を導こうとしているのかを理解することの重要性にも気づいた。これにより、現場の改善活動も、単なる効率化ではなく、企業全体の価値向上にどう貢献するかという視点で考えるようになった。

俯瞰の視点と地域への意識

ISO的思考を通じて得た最大の変化は、「俯瞰の視点」を持てるようになったことである。自分の業務が会社全体、さらには社会や地域にどのような影響を与えるのかを意識するようになった。たとえば、環境マネジメントの観点からは、工場の排水や廃棄物処理が地域の自然環境に与える影響を考慮する必要がある。
このような視点を持つことで、私は奈良全体の地域社会に対しても関心を持つようになった。地元の環境保全活動や、地域企業との連携の可能性など、これまで見えていなかった課題などが見えてきた。企業活動は地域社会と切り離せないものであり、持続可能な発展のためには、地域との共生が不可欠であると改めて実感した。

今後の展望

今後は、これまでに得た俯瞰的視点をさらに深め、社内外のステークホルダーと連携しながら、より良い職場環境と社会づくりに貢献していきたい。具体的には、以下のような取り組みを考えている。
・ISOの考え方を現場にわかりやすく伝える教育活動
・地域社会との連携を意識した環境改善プロジェクトの提案
・経営層の意図を現場に橋渡しする役割の強化
・安全に働き、無事に家に帰ることを軸にした安全文化の浸透
これらの取り組みを通じて、単なる「作業者」ではなく、「価値創造者」としての自分を確立していきたい。

おわりに

2年前の私は、現場の枠を超えて物事を考えることができなかった。しかし、現在の部署での経験を通じて、ISO的思考を身につけ、俯瞰的な視点を得ることができた。そして何より、「安全に働き、無事に家に帰る」という根本的な価値観を共有できる職場に出会えたことは、私にとって大きな転機である。今後もこの視点と価値観を大切にしながら、仕事を通じて社会に貢献していきたいと考えている。