ホーム産業論文コンクール過去の入賞論文第21回産業論文コンクール(令和7年度)再スタートの地、奈良で築く私の道

再スタートの地、奈良で築く私の道

第21回産業論文コンクール   努力賞
 株式会社丸國林業   勝山柊太郎 氏 

『 再スタートの地、奈良で築く私の道 』

 

私は今、新しい環境の中で、日々の変化を楽しみながら生活している。奈良へ移住して二年目を迎え、現在の会社に入社してからも二年目となり、さらに第一子が誕生して半年が経過した。すべてが新しく、まるで人生の再スタートを切ったかのような感覚を味わっている。

東北から東京へ、そして奈良へ

私の出身地は東北地方の豪雪地帯である秋田県である。寒さが厳しい土地ではあるが、人々の地元への愛情は深く、心の温かさにあふれている地域で育った。私はその故郷を離れ、都会への憧れを胸に上京した。人の多さや車の流れ、高層ビルの迫力に圧倒されながらも、新たな生活に胸を躍らせていた。

姉の紹介で居酒屋に就職し、アルバイト経験を活かせると考えていたが、社員として働く厳しさを痛感することになった。売上へのプレッシャーや、年齢の離れた同僚との衝突など、20歳の私には試練が続いた。それでも「楽しむこと」を第一に考え、お客様との関係を大切にし続けた結果、常連のお客様に恵まれ、売上にも貢献できた6年間は、かけがえのない経験になった。その間に現在の妻と出会い、結婚を決意した。妻の出身地である奈良で子育てをしたいという思いが強くなり、静かで落ち着いた環境を求めて奈良への移住を決断した。長年勤めた職場を円満に退職し、新しい生活をスタートさせた。

未知の土地での再出発

奈良に移住した当初は知り合いもおらず、仕事への意欲も湧かず、不安ばかりが募っていた。生活のためにハローワークに相談し、飲食業への再就職も考えたが、「新しい環境だからこそ、新しい挑戦をしてみよう」と思い直し、営業職を希望した。
紹介されたのは、人とのご縁を大切にしている「丸国林業」という木材中心の建設資材販売会社であった。営業という未経験の職種に魅力を感じ、面接を受けることにした。業界の知識は全くなかったが、異業種から活躍している先輩の話を聞き、「この会社で働きたい」という思いが強まり、入社を決意した。
この選択には、家族の存在が大きく影響していた。第一子の誕生を控え、安定した生活基盤を築く必要があったからである。奈良は自然が豊かで人の温かさを感じられる土地であり、子どもが育つ環境として理想的であった。都会の喧騒から離れ、家族と向き合う時間が増えたことで、私自身の価値観にも大きな変化が生まれた。

現場での学びと成長

入社後の1か月間は配送部門で研修を受けた。商品知識が全くなかった私に対し、先輩方は一つひとつ丁寧に教えてくださった。木材や合板の基礎を少しずつ理解し、実際の作業を通じて知識が自分の中に積み重なっていく感覚を得ることができた。
精神面でも支えていただき、不安なことがあればすぐに相談するよう声をかけてもらえたことで、この環境なら安心して働けると感じ、恩返しをしたいという気持ちが芽生えた。
その後、丸国林業がFCで展開するプロショップの「ダイコク橿原店」の営業として配属され、新たな上司の指導を受けながら、「ここで実績を残したい」という決意を強めることができた。

現場対応と商品知識の習得

店舗では来店されたお客様への接客と商品の積み込みが基本業務であった。最初は運搬に慣れず、積み方も分からず苦労したが、空き時間に練習を重ね、先輩の工夫を学びながら少しずつ対応力を高めていった。
次の課題は商品知識の習得である。木材や合板に加え、プレカット材、外壁材、内装建材、住宅設備機器など、一軒の家に必要なあらゆる商品を扱うため、日々学び続ける必要があった。お客様の要望を正確に理解することの難しさを痛感しつつも、調べ、聞き、ノートにまとめることで対応力を磨いた。
一つの注文の金額が大きいため、聞き漏らしや誤解は致命的なミスにつながる。私は慎重さとスピード感の両立を常に意識しながら業務に取り組んだ。さらに、担当のお客様の引継ぎも経験し、責任を持って対応する覚悟を決めた。感謝される営業を目指して、日々努力を続けている。

奈良という土地と、これからの私

奈良での生活は、私に「静けさの中にある豊かさ」を教えてくれた。自然に囲まれながら子どもの成長を見守りつつ、自分自身も社会人として、父親として成長している実感がある。地域の工務店様や職人の方々との関わりも増え、信頼関係を築くことができ、それが仕事のやりがいにもつながっている。
この一年間で得た経験と学びは、私にとってかけがえのない財産である。まだまだ未熟ではあるが、だからこそ挑戦を恐れず、一歩ずつ成長していきたい。新しい環境で築いたこの土台を確かな実績へと変えていくことが、今の私の目標である。
そして将来は、奈良という地で、家族と共に自分らしい暮らしを築き、地域に貢献できる存在になりたい。そのためにも、日々の仕事に誠実に向き合い、学び続ける姿勢を忘れずに歩んでいきたいと考えている。